【虫写真につき、苦手な方はご注意ください】
先日、職人が現場から、きれいな緑色の繭を拾ってきました。
「天蚕(テンサン)」と呼ばれる野生の蚕(カイコ)、ヤママユの繭玉です。
ヤママユは、ヤママユガ科の大きな蛾の一種。
「家蚕(かさん)」と言われるいわゆる「カイコ」は古くは中国由来ですが、「野蚕(やさん)」であるこのヤママユは、日本が原産です。
幼虫は食べた葉っぱの葉緑体を分解できないため、繭が緑色になるのだそうです。
天蚕は人工飼育も行なわれていて、この美しい繭から、天蚕糸という貴重な絹糸がつくられ、「繊維のダイヤモンド」とも呼ばれているのだとか。
ちゃんと羽化するのかな?と心配でしたが、無事に繭から出てきてくれました。
羽を広げるとこの大きさ。
虫かごが、ちょっと窮屈ですね。
成虫になったあとは餌を食べることなく、幼虫のころに蓄えた栄養のみで生き、繁殖のために1~2週間の寿命を全うするそうです。
ヤママユやクスサンなどアジアの野蚕には、幼虫も成虫も、毒性はありません。
毒がなくても、見た目の大きさにちょっとひるんでしまいますが……
とても貴重な姿を見せてもらいました。
自然の世界に戻ったら、子孫たちがまた、きれいな繭を紡ぎ出していくことと思います。
無事に旅立って行ってくれますように。